彼に惚れてはいけません

玄関からすぐの場所に洗面所があり、そこで気付く。

吉野さんの部屋は、とてもサッパリしていて、物が少ない。

私と正反対の整頓された部屋。

キッチンに行き、リビングのソファに腰掛けた時に違和感・・・・・・


整頓というより、散らかるものがない。
まるで、生活感がない。

モデルルームのように、キッチンカウンターの上には何も物がのっていない。

真っ白な壁。

テーブルの上には、ティッシュもリモコンもなく、いらない郵便物なんかもない。


「部屋、綺麗だね」

「そう?」

「私が来るから片付けた?」

「いや、むしろ由衣が来るからと思って、そのクッションを出したり、コーヒーカップを買ったりした」

ソファには座らずに、キッチンから答える吉野さんは、私の横に置いてあるクッションを指差した。


私の為にコーヒーカップを買ってくれたことに驚いたけど、買わないといけないくらいにカップがなかったのかな。

< 104 / 180 >

この作品をシェア

pagetop