彼に惚れてはいけません
玄関からすぐの場所に洗面所があり、そこで気付く。
吉野さんの部屋は、とてもサッパリしていて、物が少ない。
私と正反対の整頓された部屋。
キッチンに行き、リビングのソファに腰掛けた時に違和感・・・・・・
整頓というより、散らかるものがない。
まるで、生活感がない。
モデルルームのように、キッチンカウンターの上には何も物がのっていない。
真っ白な壁。
テーブルの上には、ティッシュもリモコンもなく、いらない郵便物なんかもない。
「部屋、綺麗だね」
「そう?」
「私が来るから片付けた?」
「いや、むしろ由衣が来るからと思って、そのクッションを出したり、コーヒーカップを買ったりした」
ソファには座らずに、キッチンから答える吉野さんは、私の横に置いてあるクッションを指差した。
私の為にコーヒーカップを買ってくれたことに驚いたけど、買わないといけないくらいにカップがなかったのかな。