彼に惚れてはいけません

「俺は、目に見えるものしか信じない。いくら今日帰った後に由衣が“気持ち良かったよ”ってメールをしてきてもそんなの信じない。俺の目で見た由衣の姿がすべてだから」

「ちょっと待って、どういうこと?気持ちよかったよ、なんてメールしないもん!」

「例えばの話だよ。気持ち良かったってメールもらうよりも、俺が実際にこの目で見たお前の気持ち良さそうな顔が、何よりも真実ってこと」

恥ずかしすぎて、何も言えなくなる。

そんなに気持ち良さそうな顔してたんだ、私。

「好きだとか、大事だとか手紙やメールで言われても、そんなの気持ちがなくても書けるんだよ。俺の目を見て、恥ずかしい顔しながら、好きって言ってくれるから、由衣のことは信じられる」

今、ものすごい良いことを言ってくれている気がする。

それなのに、吉野さんの指が私の腰に伸びてきて。


「もうっ」

「ほら、その顔。嬉しくて仕方ないって顔してる。俺のこと好きなんだな~って」

真顔でそんなこと言われるなんて、恥ずかしすぎるけど、その言葉の意味は痛いくらいにわかる。

エッチ中の男の言葉は信じるなって吉野さんは言ったけど、吉野さんの言葉はまっすぐで正直で、嘘がないって思った。

それは私の経験がないからかもしれないけど、性欲の為に言っている言葉じゃないって思えた。

確かめるように、愛を探し合うようなエッチだった。


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