彼に惚れてはいけません


「家に来るか?って言っただけなのに、どうしてそんなに顔が赤いんだろうねぇ?」

いやらしく指を絡めてくる吉野さんは、私をじっと見つめてくる。

いじわるなんだから。


「由衣オススメの映画でも観ながらワインでも飲もうかなと思ったんだけど、他にしたいことあるの?」

ニヤニヤすると、目じりのしわが際立って、その顔がたまらなく好き。

「映画観たい!オススメいっぱいあるよ」

「じゃあ、映画観ながら、イチャイチャしよっか」

いつでも自然体で冷静な吉野さんには珍しく、ソワソワした感じが嬉しかった。

私がドキドキするように、吉野さんも私との時間をそう感じてくれているといいな。

ドキドキしたり、興奮したり、キュンとしたり。


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