彼に惚れてはいけません
「もうすぐ到着だな」
「うんうん!どうしよう」
その後、着陸準備に入ってから、私が何度も悲鳴を上げたことは、深く語るまい。
「着いたーーーーーーーー!!シャルルドゴール空港」
何度も映画で見た景色。
でも、映画では匂いは感じなかった。
日本とは違うこの匂い。
「来ちゃった。どうしよう、私」
「どうしようか。まず、心のままに興奮してみれば?」
心のままに興奮・・・・・・
「やっったぁ!」
私は、子供のように飛び跳ねて全身でフランスの香りを吸い込んだ。
「こんなに喜ぶんだったら、初めてが俺で良かった。他の男にこんな由衣見せたくないよ」
時々出る、彼氏的発言にドキドキしながら、私と吉野さんのフランス旅行が始まった。
ホテルに荷物を置いて、まずふたりが思ったこと。
パリで昼寝しようって。
初めての時差ボケと興奮しすぎた疲れであくびが出る。
「公園で昼寝する恋人達に憧れてたんだよね」
「確かに、恋人だらけだな。みんなイチャついてる。これって、俺とイチャつきたいって意味?」
「違う違う~!」
私達は、遠くに教会の建物が見える大きな公園の芝生に座る。