彼に惚れてはいけません

夜空に花火が上がったようだった。

吉野さんの口から、衝撃的なワードが出た。


“結婚”!!!!!!!


「け、け、け・・・・・・結婚!?」

「今のプロポーズのつもりだったんだけど。もう1回言う。俺と、結婚しよう」


私は吉野さんの胸に顔を埋めて泣いた。

信じられないよぉ。

結婚してくれるなんて。



結婚したいってものすごくものすごく思ってたけど、まだ付き合ったばかりだし、吉野さんが考えてくれてるなんて思ってもなかったし。



「お前、泣きすぎ。明日言うつもりだったのに、由衣が愛してるなんて言うからさ」

「うぅぅぅうううう、嬉しいよぉ。吉野さぁん」

「そんなに俺を愛してるの?」

「うん、うんうん」

「俺も、負けないくらい愛してるよ」


セーヌ川の上でプロポーズした恋人達って、どれくらいいるんだろう。

私達は、もう一度キスをして、ぎゅっと手を握り合ったまま、美しい景色を見つめた。



< 157 / 180 >

この作品をシェア

pagetop