彼に惚れてはいけません
「早く結婚したい気持ちでいっぱいだけど、自分のこともう少し磨いてから結婚したい。仕事もだし、花嫁修業もしないと」
「ん?さっき言ったこと忘れた?自然体って言わなかったか?」
吉野さんは、私のあごを指先でつまむ。
「心のままに生きろって言っただろ。こう言ったらこう思われる、とか俺達の間では必要ない。かけひきもいらない」
「あ、そっか。そうだよね。吉野さんに会って、思ったことをそのまま伝えることができるようになったんだ。本当に私、変われたと思う」
「じゃあ、心のままに言ってみろよ」
わざと作ったドS顔も好き。
「今すぐ結婚したい。ずっとずっと一緒にいたい。離れたくない」
「よくできました。じゃ、トントンと進めていこう」
私の頬に手を当てて、愛しそうに見つめてくれる。
この幸せ、たまらない。