彼に惚れてはいけません
8時半。
あの日と同じ時間に、目覚まし時計アプリのアラームが鳴る。
また起きない。
こんなことしてると、また女性に狙われちゃうかもしれない。
吉野さんを起こす係は一生私がいい。
「あの、起きる時間じゃないですか?」
と声をかけると、ビクッとした吉野さんが顔を上げる。
「誰!?ここ、どこ?」
ふふ、かわいい。
あの人同じ、ねぼけ顔。
「え、どういうこと?何、ここ、夢の中?」
「過去の世界に戻ったの。初めまして」
よだれをふきふき、キョトンとした顔の吉野さん。
「あ、初めまして。あなた、俺と結婚することになりますよ」
眠そうな目をこすりながら、吉野さんが私に手を伸ばす。
手を握られた。
「結婚してください」
ポケットから小さな箱を出した吉野さんがゆっくりと私の左手の薬指に・・・・・・
「ここで渡そうと思ってたんだ」
キラリと光るダイヤモンドの指輪がはめられた。
「やっぱり、俺達って運命だな」
「嬉しい!ありがとう」