彼に惚れてはいけません
ロッカーで着替えながら、今日の黄色のパンツに白いブラウス、スニーカーというカジュアルスタイルを後悔した。
スカート履いてくれば良かった。
「よし!!」
と顔をパンパン叩いて、顔色を良くして、化粧直し。
一駅電車に乗り、その謎のカフェバーへ向かう。
“セーヌ”って名前なら、フランスらしいお店なのかなぁ。
でも、箱庭って何だろう、と思いながら、歩いていると、森のように木々に覆われた不思議な雰囲気の店が目に入る。
“HAKONIWA センス”
ちょっと待って!
あの人、ほんとに何度も何度も突っ込みどころ、ありすぎじゃない?
センス?
セーヌじゃなくて??
私は吉野さんから渡された紙をじっくりと見直す。
私に否がなかったとは言えない。
見ようによっては、センスと読めなくもない。
いや、でも “ン” の上の点はどこにも見当たらない。