彼に惚れてはいけません

ダイエットの為に、野菜から食べるようにしている。

父は太りやすい体質で私も同じく太りやすいので、気にしながら生きている。

「いただきます」
と手を合わせ、ベビーリーフと水菜をいただく。

そして、アボカド。

シーザーサラダはどれも好きだけど、この味は私の好みだった。

チーズの匂いが強く、数枚のせられているバジルとよく合う。

「飲み物、どうします?」

カウンターからマスターが優しく声をかけてくれた。

「後で頼みます」

と言うと、無言で優しく微笑んでくれた。

「メニュー置いておくわね」

「ありがとうございます」

手書きであろうメニューからは、温かいおふたりの人柄が伝わってくるようだった。

意外なお店だった。

38歳のイケメン商社マンが、選ぶ店だとは思えない。

もっと洒落た薄暗いバーとか、踊れるような店とか、そんなのじゃないの?

どうして、私を失望させてくれないのよ。

もっともっと、好感度アップしちゃうじゃない。


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