彼に惚れてはいけません
「まぁね、俺は一目惚れとか絶対に信じない派だから。俺も君も変わり者だから、お互いをよく知って、よく触れて、それからだね」
一目惚れに近いくらい早くに恋に落ちてしまった私としては何も言えなかった。
私も一目惚れほど怪しいものはないと思って生きてきた。
でも、今回何も知らない吉野さんに恋をして、一目惚れって動物としての本能が選んだ運命の人ってことじゃない?って思ったりもする。
「聞くの忘れてたけど、彼氏いる?」
「いません」
いまさらーーー!!?
「そうだろうと思った。彼氏ができたら絶対に他の男と飲みに行ったりしないタイプだろう?」
当たっているけど、ちょっぴり悔しい気持ちになる。
彼氏いるかもしれないじゃん。
マスターがサービスで出してくれたいちごシャーベットをスプーンでつつく。
「吉野さんは彼女いないんですか」
「彼女とか作らないかな、俺は。ひとりが楽」
この人、本当に掴めない。
さっき、若干口説いたよね??
私のこと。
俺達合うと思うんだ、って言ったよね?
それ、彼女としてって意味じゃないの?
わかんない。
ますます、この人危険。
ハマったら泥沼になる気がしてきた。
って、もうハマっている私。