彼に惚れてはいけません
「もっと好きになっちゃうよ」
冷静じゃない吉野さんをもっともっと好きになってしまう。
「由衣、俺みたいな男を好きになっちゃダメだって」
「じゃあ、どうしてキスするの?」
抱き合った体を離したくなくて、ぎゅっとくっついた。
「それは、俺がキスしたいって思ったのと、由衣がしてって言ったから」
どこまでも掴めない人なんだけど、好きが溢れてどうしようもない。
「俺が教えてあげるから。心のままに行動する練習をしよう。じゃあ、次のミッション。もう俺帰るけど、どうする?」
ミッションだらけの恋だ。
素直になるって楽なことなんだね。
自分の気持ちのままに相手に伝えること、とても幸せなんだ。
「もっと一緒にいたいです」
「それで?」
「帰りたくないけど今日は帰ります」
「合格!合格のごほうび、あげよう」
と、耳元にキス。
「ここで、今夜は帰りたくない!なんて言う薄っぺらい女になるんじゃないよ」
心の奥の本音を言えば、今夜は帰りたくないんだよ?
この人、本当に危険だし、わけわかんない遊び人かもしれないけど、それでもいい。