御曹司さまの言いなりなんてっ!
両頬を大きな手で挟まれ、上向きにされた私の唇に彼の唇が降ってくる。
ほんの僅かな隙間から、スルリと押し入ってくる生温かい物が私の舌を捕え、彼はそれを激しく絡ませ始めた。
水音のような湿った音が、乱暴に、そして密やかに耳の奥に響く。
私のこんな特別な部分で、こんな特別な彼の部分を知ってしまって、頭の芯がじんわりと痺れる。
混じり合うお互いの吐息が、荒い。
強情な私の牙城を崩そうとする彼に、これでもかとばかりに攻めたてられて、息も継げないほど翻弄される私の体からふわりと力が抜けた。
心も、唇も、皮膚までも全てが甘く敏感になって、全身の感覚が彼を受けいれてしまっている。
こんなに激しく扱われているのに、私はうっとりと蕩けていた。
だってキスの合間に彼が囁く舌足らずな声が、どうしようもなく胸を疼かせる。
「成実……成実……なる、み……」
きっと彼の頭と心の中は、いま私で一杯だ。
そう確信できることが幸せで、この幸福感を伝えたくて、私は彼の背中にそっと両腕を回す。
私の頬を挟んでいた彼の両手もすかさず私の背に回され、私達は強く抱きしめ合った。
そして唇を離す間もなく、お互いを絡め合い、何かを解放するように味わい続ける。
彼の指先が、掻くように私の背中や肩を上下した。
服の生地を挟んで指と皮膚が擦れるたびに、背中にゾクリと痺れが走る。
あぁ、どんなに激しくキスを交わしても、体の中に熱は籠る一方で逃げ場がない。