御曹司さまの言いなりなんてっ!

『お母さんが、あんたにピッタリの良い相手をちゃんと探してあげる。どうせあんたに恋人なんかいないんでしょ?』


 我が母ながら、この人は性格も言い方も非常にキツい。

 本当に私と血が繋がっているのかしら。

 DNA鑑定してやろうかと密かに思った事は、一度や二度では無い。


『お母さんだってね、そろそろ孫の顔が見たいのよ。体力がある今のうちでなきゃ孫育てもできないんだから』

「別に、お母さんに孫育てしてもらうつもりなんて無いもの」

『お母さんがしたいの! なんて親不孝な娘かしらね、この子は!』

「親不孝でけっこうですー」

『親不孝はともかく、祖母不幸は許しません! おばあちゃんにあれほど可愛がってもらったでしょ!?』


 それを言われて、さすがに私はグッと言葉に詰まった。

 両親が共働きだった私は、おばあちゃんに育てられたようなものだ。

 昔気質で優しくも逞しかったおばあちゃんは、まるで一輪の花を育てるように、深い愛情を込めて私と接してくれた。

 その大好きだったおばあちゃんが去年突然亡くなり、今年は新盆。

 いつも私の味方をしてくれたおばあちゃんの死に目に間に合わなかった罪悪感は、私の中でしこりとなってずっと消えない。

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