御曹司さまの言いなりなんてっ!
プロジェクトとパーティードレス
「あの、部長。質問してもよろしいですか?」
「なんだ?」
「これから私達、どこへ行くのでしょうか?」
私は部長の背中にそう問いかけながら、我ながら実に的を射ている質問だと自画自賛してしまった。
この質問は、いま私達が向かっている場所に対する疑問でもあり。
この不可解な現状に対する、今後の先行きへの不安をも同時に示している。
「会議室だ。今ちょうど責任者会議をしている」
「会議?」
「俺がいま手がけている、地域活性プロジェクトの会議だ」
部長がちょうどそう言い切った時、私達はひとつの扉の前に立っていた。
ノックもせずにドアノブをガチャリと回して、部長はその部屋の中にスタスタと入ってしまう。
大きく開け放たれたドアの手前で、私は立ち止まって困惑してしまった。
私もこの中に入ればいいの? それとも待っていればいいの?
明るいクリーム色の壁と、薄いブルーのカーペットのこじんまりした室内の様子が見える。
白の地に鮮やかな黄色いラインが大胆に走ったテーブルが、室内の印象をさらに明るくさせていた。
10人掛け程度のそのテーブルの席についている、首から社員証を下げた数人の男女の視線が部長に集中する。
そして次に、その視線が一気に私に流れた。
明らかに『誰? ここになんの用?』と、全員に目で問われて、私は恐縮して視線を下げてしまう。
すみません。なんの用なのか、それは私も知りません……。