御曹司さまの言いなりなんてっ!
シードルのように泡立つ気持ち
「私は彼女に、運命と言ってもいいほどの強烈な何かを感じてしまいました。気がついたら、彼女を自分のパートナーに指名していたんです」
「ほう。それは実に興味深い話だね」
「どうかお願いです。私と彼女がパートナーになることを、正式に認めてください」
「直哉が選んだ人物なら、もちろん私は認めるよ。これからふたりで一緒に頑張っていきなさい」
「ありがとうございます! お祖父様!」
私はもう、ドギマギするやら、視線がフラフラ泳ぐやら。
下げた頭を上げる余裕もなく、自分の足元を見つめながら完全に動揺しまくっていた。
パートナーって、仕事でのパートナーって意味よね?
これからふたりで頑張れって、それは、仕事を頑張りなさいって意味なのよね?
……なのに、まるで結婚の承諾を受けてるみたいに聞こえるのは、私だけ!?
これって私が自意識過剰なだけですか!?
「キミ、遠山くんといったかな? そんなに緊張しなくていいから、頭を上げなさい」
まるで謝罪会見のように頭を下げっぱなしでいる私に、会長が声をかけてくれた。
仕方なく頭を上げたけれど、羞恥のせいで赤くなった顔を見られたくなくて視線は下向きのまま。
俯いてモジモジしていたら、私の背中に大きな手が触れた。