ねがい
一限目が終わって休み時間。


彩乃はまだ登校して来ない。


遅刻するにしても、一限目の途中でやって来る事が多いのに。


休むつもりかな。


「森川さん、昨日の話なんだけど」


南部君が、考え込む私の前に移動して、前の席に座った。


昨日の話?


ああ、例の話ね。


昨日の夜に言ってたのに、もう調べてくれたの?


「卒業した先輩とかにも聞いて、俺が知らない話もいっぱい出てきたんだよ。関係ない話もあるかもしれないけどね」


「そうなんだ。それで?どんな話があったの?」


怪しい噂は、実行してみようとは思わないけど、どんな話なのかは興味がある。


「これは、とある先輩の先輩にあたる人の話なんだけどさ……」


……その入りがあると、話が安っぽく聞こえるのは気のせいかな。


まあ、聞いた話なら仕方ないんだけど。


「でね、その先輩はいじめられていて、自殺まで考えたらしいんだ」


「へ、へぇ……で、どうなったの?」


例のおまじないをしたという事は分かっているけど、南部君の口からそれを聞くまでは、変な事は言わないでおこう。


おまじないをして、先輩をいじめていた人が優しくなったのか、失敗したのか……。


南部君の目をジッと見て、続きを待った。
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