ねがい
それから何度も眠りに就いては起きを繰り返して、起きるたびに南部君とメール。


『今すぐにでも逢いたいよ』


『学校がない日は、ずっと一緒にいたい』


なんて、ニヤけてしまうような内容のメールが送られて来る。


一日経って、ああ、本当に付き合ってるんだなあという実感が湧いてきた。


ただの友達を、ちょっとしたきっかけで好きになって、付き合って。


中学校を卒業しても、ずっと一緒なのかな。


志望校も同じはずだけど、学科は違う。


それでも、学校が終われば一緒に遊べる。


合格すれば、なんだけどね。


ここ数日、儀式の事ばかり考えていたから、授業を聞いていなかった。


受験を控えているのに授業を聞いていないのは痛い。


多分大丈夫、くらいの学力の私は、不安でたまらないよ。


「私の大切な物って何かな?もう失ってるとしたら、一体何を失ったのかな?」


南部君にそうメールを送り、携帯電話を枕元に置いた。


こうして、ボーッとしていても、儀式をしたいとは思わなくなっている。


その事自体は良かったんだけど、失敗したという事実が私を悩ませる。


私が大切な物……思い付かないという事は、その程度の物なのかな?


大した物じゃなければ良いんだけど。
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