ねがい
「だってさ、一回目の願いを叶えた人が、二回目の願いを叶えなかったって話は聞いてないんだよ?俺が聞いた話では全員が二回目に挑戦して、失敗してるんだ」


つまり、一回目の願いで好きな人と両想いになっても意味がないって事?


願いが叶うという誘惑に負けてしまうの?


「どうして皆、一回で止めなかったのかな?止められない理由でもあったのかな……」


「俺はやった事がないから分からないんだけどね。それを確かめる為に、山中さんの所に行くんじゃないの?二回目をやってないと良いんだけどね」


そうだよね……その為に行くんだ。


連絡がなくて、彩乃が今どうしているのかを確認出来たらそれで良い。


私は南部君と、彩乃の家までの道を歩きながら、色んな可能性を考えていた。


彩乃の大切な物は何だろう。


二回目を失敗したら、大切な物を失うんだよね。


私だったら……何が大切なんだろう。


考えても、何が大切なのかすら分からない。


家族?それとも携帯電話?


どれも大切だけど、どれも違うかな。


あれこれと考えているうちに彩乃の家が見えて来て、もうすぐで到着する。


家が近付くにつれ、何だか言い様のない不安が募ってくる。


悪い事が起こっているような気がして。
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