ねがい








「19時19分、幽霊が願いを叶えてくれる」








私も諦めかけていた時に、弘志さんの口から飛び出した言葉。


その時、私の心臓が大きな音を立てたのが分かった。


「分かってるよ、それに失敗したから、お前はそんな風になっちまったんだよな」


確かにその通りだけど、弘志さんが伝えたいと思ってるのはそうじゃないんじゃないかな。


可能性として考えてはいたけど、試そうとは思わなかった事。


「助けたかったら、願いを叶えろって事すか?」


私の代わりに南部君が口を開いた。


そう……願いが叶うなら、彩乃を元の姿に戻してとお願いすれば良い。


「ダメだろ。お前に言ったよな?一回願いを叶えた人は、二回目も必ず願いを叶えようとするんだ。そして、二回目は間違いなく失敗するんだ」


「それは聞きましたけど、そもそもどうして二回目は失敗するんです?」


「知らないからここにいるんだろ」


それからは、何を尋ねてみても、弘志さんは別の事を言わなかった。


30分くらい粘って、これ以上何かを聞き出すのは無理と判断した私達は、小屋から出た。


もしかすると、色んな話が聞けるかなと思っていただけに、弘志さんの状態は多少なりともショックだったな。
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