ねがい
三人で道を歩きながら、弘志さんが示した可能性を、私はずっと考えていた。


願いを叶えれば、次を叶えなきゃならない何かがあるのかな?


だけど、彩乃にはそんな様子はなかったし。


むしろ、願いが簡単に叶うと喜んでいたようにも見えた。


「向井さん、弘志さんが二回目の願い事を叶えようとしていた直前に、何か言ってませんでしたか?」


私が悩んでいる間、向井さんも何かを考えていたのだろう。


ハッとしたように顔を上げて、私に笑い掛ける向井さん。


「菜々も俺の事が気になり始めたのかな?それは仕方のない事だね。ごめんね、俺が格好良すぎるから」


……元に戻っちゃった。


ずっと弘志さんの前の向井さんでいてくれたら疲れなくて済んだのに。


「そんな事きいてないっすよ。森川さんが真剣にきいてるんだから、真面目に答えてくださいよ」


うん、南部君がいなきゃ、向井さんとはまともな話が出来そうにないかな。


「潤、お前相変わらず厳しいのな。まあ良いや……弘志が二回目にねぇ。簡単だからお前もやってみろって言ってたくらいかなぁ?」


「簡単だから……ですか。彩乃も同じような事を言ってましたね」


二人とも、最初の願い事を叶えて、二回目も叶うと強気だったのが分かる。
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