ねがい
あれから二時間。


家に帰り、食べられなかった給食の代わりにパンを食べて、ベッドに横になりながらこの後の事を考えていた。


携帯電話の時計を確認すると、16時を回った所で、あの時間まではまだ余裕がある。


最後まで向井さんと南部君には反対されて、私も折れたふりはしたけれど……本当は行くつもりなんだよね。


私は医者じゃないから、ドロドロになった彩乃が大丈夫なのか、もうダメなのかも分からないけど、元に戻せる可能性があるなら、それに賭けてみたい。


「ごめんね、南部君。向井さん。でも、彩乃を助けたいんだ」


通話もしていない携帯電話に向かって話して、枕元に置いた。


失敗するなんて考えてない。


だけど、一つ気掛かりなのは、彩乃と弘志さんの状態が違う事。


二人とも二回目で失敗したと思われるのに、明らかに彩乃の方が酷い状態だ。


中には死んだ人がいるって話だから、特別に彩乃が酷いってわけでもなさそうだけど。


大切な何かが違ったんだろうな。


何を願ったのかという事もあるんだろうけど。


彩乃に言われた時は、そんな怪しいおまじないなんてしないと決めていたのに。


今は彩乃を助ける為に、信じていなかったおまじないを、皆には内緒でやろうとしている。
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