ねがい
踊り場と一階を繋ぐ階段の途中で、再び感じるあの悪寒。


この、ネットリとまとわり付くような感覚は……。


幽霊達が戻って来た!?


「い、いるの?」











「イルヨ……」












また耳元で聞こえた。


足音もなく、いつの間にか、当然のように背後にいる。


一瞬軽くなったと思った空気が、また重くなった。


さっきよりも幽霊が多いような感じがする。


「どうして……さっきいなかったの?」


そう尋ねた時、階段の壁がゆっくりと盛り上がり始めた。


まるで、ゴムかと思うほど伸びて、人の顔の形が浮かび上がったのだ。


それも、何人もの顔が、叫んでいるかのような苦悶の表情で。


ただでさえ身震いをするのに、ドキッとして冷たい感覚が全身を駆け巡る。


さっきの、色んな所から感じた視線はこれだったのかと、改めて恐怖を感じる。


こんなのを見てしまって、明日から学校に来れるのかな。


色んな事を考えていると聞こえる耳元からの声。











「アレニ、ミツカリタクナイカラ……」












幽霊にも怖いモノはあるのか……。


一階に到着して、生徒玄関が近くなった事が、私の心に少し余裕を生んでいた。
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