ねがい
心の隙に、滑り込むように入って来る幽霊の声。
「トコロデアナタハ……」
「あっ!あっ!そうだ、私は三年生なんだけどさ、志望校に行けるか微妙なんだよね」
危ない危ない……余裕なんてないのに、私は何を考えていたんだろう。
「ソウナンダ……」
幽霊も、私が話を途切れさせるとあっさり引いてくれるし、生徒玄関までの距離も短い。
上手くやりさえすれば、彩乃を元に戻す事が出来るんだ。
この廊下をあと少し歩けば終わる。
生徒玄関に差し掛かり、その時が近付いた。
私を行かせたくないのか、身体にまとわりつく何かが、進む速度を落とす。
足が重い。
夢の中で、何かから逃げようとしてるのに、前に進めない感覚に似ている。
だからと言って、このまま進まないわけにはいかないし。
力いっぱい足を前に出し、すぐそこに見えている生徒玄関のドアに手を伸ばす。
「皆……こんな事をしてるの?これで二回目をしようとかさ、全然思わないんだけど……」
頑張っているのに……身体が後ろに引っ張られているみたいだ。
それでも、最後の力を振り絞って伸ばした手が、ドアの取っ手に触れて。
祈るように握ると、身体から重みが消えたのだ。
「トコロデアナタハ……」
「あっ!あっ!そうだ、私は三年生なんだけどさ、志望校に行けるか微妙なんだよね」
危ない危ない……余裕なんてないのに、私は何を考えていたんだろう。
「ソウナンダ……」
幽霊も、私が話を途切れさせるとあっさり引いてくれるし、生徒玄関までの距離も短い。
上手くやりさえすれば、彩乃を元に戻す事が出来るんだ。
この廊下をあと少し歩けば終わる。
生徒玄関に差し掛かり、その時が近付いた。
私を行かせたくないのか、身体にまとわりつく何かが、進む速度を落とす。
足が重い。
夢の中で、何かから逃げようとしてるのに、前に進めない感覚に似ている。
だからと言って、このまま進まないわけにはいかないし。
力いっぱい足を前に出し、すぐそこに見えている生徒玄関のドアに手を伸ばす。
「皆……こんな事をしてるの?これで二回目をしようとかさ、全然思わないんだけど……」
頑張っているのに……身体が後ろに引っ張られているみたいだ。
それでも、最後の力を振り絞って伸ばした手が、ドアの取っ手に触れて。
祈るように握ると、身体から重みが消えたのだ。