ねがい
気持ちを変えられた?


考えてみれば、私だってどうしてこんな気持ちになったのかは分からない。


怖くて怖くて、絶対にやりたくないと思っていたのに、いつの間にか簡単だと思うようになっていた。


「でも、それっておかしいんですよね。一回目は叶えたい願いがあるからやったとして、二回目はまずおまじないでしょ?願いを叶えたいって言うより、おまじないがしたいだけのような気がするんすよ」


「潤の言う通りだ。菜々、二回目に挑戦したいと思うのはどうしてだ?叶えたい願いは何?」


こういう、真面目な話をしている向井さんがずっと続けば良いんだけどな。


いつもの向井さんはちょっと疲れてしまう。


「叶えたい願い……うーん、何ですかね。何を叶えようか悩んでます」


私の言葉に、呆れたような表情を浮かべる二人。


考えてみればそうだよね。


願い事を叶えたいからおまじないをするのであって、おまじないをする為に願い事を考えるのでは、二人が呆れるのも当然かな。


「よし、話を変えよう。菜々の友達はどうなった?元に戻してほしいと願ったなら、元に戻ったんだろ?」


「見る事は出来ませんでした。でも、病院の人は安定してるって」


私がそう答えると、向井さんはさらに考え込んだ。
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