ねがい
やっぱり、向井さんは格好良いし、頭も良いからモテると思うんだよね。


高校生だし、同じ学校にはもっと綺麗な人もいるはずだから、中学生の私を本気で好きになるはずがないと思ってるのかな。


そう考えると、南部君の方が何倍も本気さが伝わって来る。


「向井さんは彼女とかいないんですか?凄くモテそうだから、ファンクラブとかありそうですけど」


外見だけで言えば、芸能界にいてもおかしくないくらいだから、向井さんを好きな人はいっぱいいるはず。


「嬉しいよ菜々。俺をそんな風に見ていてくれたんだね?安心して良いよ。彼女はいない。次の彼女は菜々と決めているからね」


そう言い、私の前に立つと、優しい微笑みを浮かべて私の頬を撫でる。


しまった、言葉の選択を間違えたと、後悔していると……。


頬を撫でた手をあごに移し、少しだけ私の顔を上に向けると、向井さんはゆっくりと顔を近付けて来たのだ。









え!?えっ!?


な、何!?


も、もしかして、キスしようとしてるの!?


何がどうなっているのか分からない。


向井さんの行動は読めない所があるけど、突然こんな事になるなんて。


不安で身体が固まって。


身動きが取れない私に、向井さんの顔が近付いた。
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