青空の下月夜に舞う 2
【着信;お父さん】
体の芯が熱い。
けれど、指先はどんどん冷たくなっていくような感覚。
「すいません……私ちょっと電話、家からで……」
携帯を手に、私の隣に座るリカさんに声をかけて立ち上がった。
私はそのまま、店の外に出ると、通話ボタンを押した。
「もしもし……」
足が向かうのは、店の裏側で。自然に人が居ない方を選ぶ。
『麻衣?』
少し遠慮がちに。だけど、はっきりと私の名を口にした。
「お父さん……久しぶりだね」
『ああ……』
何を言えばいいのか分からず、取り合えず無難な言葉を選んで話す。
手は冷たいのに、僅かにかく汗。
Tシャツの裾を握り、手汗を気にしないようにした。