青空の下月夜に舞う 2

「麻衣ちゃん」


優しく名前を呼ばれて、ハッとする。



どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。


裸女は、私が話をするのを待っているのだろうか。

でも……唇を噛んで俯く。


エアコンの温度は丁度いい筈なのに、どんどん体が冷えていく気がした。

私が黙ってさえいれば。
バレる事なんてないと思っていたのに。



「明日、家族でご飯なんでしょう?」



その言葉に顔を上げた。



「あ、響はペラペラ喋るヤツじゃないからね。寧ろ心配してるから、今日私を……ってヤバ。これ内緒なんだった」


いつもの間延びした話し方じゃない。
ふざけていないんだ、と。空気で分かる。けれど今の言葉が、確実に空気を軽くした。
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