青空の下月夜に舞う 2
響には内緒だからね、と。
可愛く言い放つ姿に、肩の力が若干抜ける。



「みんなが。明日待ってるから。明日は“家族で食事した日”じゃなくて、“めっちゃはしゃいだ日”にしよう」



家族と会うのが怖いと話した私。

そんな私に響が気を使ってくれたんだとしたら。


目の前が滲む。
喉が痛み、鼻の置くがツンとして。

涙が溢れた。


私の手の上に置いていた手は、優しく腕に回り、ゆっくり擦ってくれる。


「今日は、“泣いた日”や“秘密がバレた日”じゃないよ?“私が初めて泊まりに来た日”だからね?」

「……っ、……」

「ほら、目から鼻水出てるよぉ?麻衣ちゃん汚いな~」


裸女の話し方が、いつもと同じに戻る。
それが冗談だって。暖かい気遣いが余計に私の涙腺を刺激して。

壊れた人形みたいに、私は頭をうん、うん、と縦に何度も振った。
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