青空の下月夜に舞う 2


沈黙。


知恵さんの視線が、空気を……

いや、私の登場に、場が凍りついた、の表現が正しい。




「ご注文がお決まり次第、お呼びください」



店員の言葉に、ハッとさせられたのは、きっと全員。


扉が閉まり、第一声を発したのはお父さんで。


「ほら、麻衣座って。お母さんも。そんな顔するんじゃない。あれは誤解だったんだから」

「誤解の話をしてるんじゃないのよ!私は……」

「今日は、食事をする約束だろう?家族なんだ。麻衣が居て当然だろう」


知恵さんが、声を荒げる。
立ち上がろうとする知恵さんを、お父さんがなだめ、不満気に腰を下ろした。



……それを。
まるで楽しむかの様に、目を細めて笑みを浮かべている人物。





「麻衣、カルボナーラが、美味しそうだよ?」




まるで、異世界。

誰もが楽しめないこの状況を。



――……雄大はとても楽しそうに笑うんだ。




  
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