青空の下月夜に舞う 2



油断をすれば、叫びたくなる。



気を抜けば、泣いてしまう。



折角美味しそうな食事がテーブルに並ぶのに
全く味が感じられないんだ。


なのに、残す訳にはいかなくて。

三分の二程無理矢理飲み込んだ時。



「私お手洗い」

「あ、じゃあ俺も」



知恵さんと、お父さんが席を立ち、個室の扉から出て行く。

後ろ手に扉をお父さんが閉めると、遠ざかるお父さんの革靴の音が聞こえ、無意識に大きく息を吐き出した。






「緊張した?」



その声に、我に返ると、声をした方。
左に座る雄大に視線を向けた。

にこにこと笑う、雄大は、私の髪に手を伸ばし、毛先を撫でる。
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