青空の下月夜に舞う 2
髪の間に指を通して、ぐしゃぐしゃにする。
外を走る車やバイクの音が、自棄に遠くに感じる。
ダメだと思えば思うほど、蘇らせたくない記憶の“声”が頭の中でこだまして、おかしくなりそう。
「はあ、はあ、はあ、……っ……」
涙が熱い。
どんな冷たい事を言われてもいい。
慣れた、との言い方は可笑しいのかもしれないけれど、私が苦しいのはいい。
でも――――あんな風なお母さんを見ると、普通じゃいられなくなる。
お母さん……知恵さんはもう落ち着いたのか。
そればかりを考えて。
髪を掴んでいる手に力がこもる。
“やめて!麻衣が!麻衣っ!いやあああああ!”
あの温かい手が。
穏やかで居られます様に、と。願わずにはいられない。