青空の下月夜に舞う 2
車からは降りて来る気配はない。

いつも私に話しかける時は、一人だったから。


祐也は雄大を睨んでて。雄大は笑ってる。

蒸し暑い空気も。そこだけが冷たくなっている様だった。


「麻衣、伝言だよ」

「……っ」


私の体がピクリと反応する。


電話でも済む内容だったとしても。雄大が直接伝えるのは、きっと私が独り暮らしをする前にした“約束”を。色濃くする為。


「14日、だって」

「わかった……」

「それと、」


私が返事をすると、わざとらしく、あたかも今思い出したかの様に用件を口にした。



「昨日。どこで何してた?」


「……っ」


思わず目を丸くしたのを、雄大は見逃さず、再び笑みを浮かべると、パワーウィンドウを閉め、車はゆっくり走り出した。

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