青空の下月夜に舞う 2
「ありがとー」と口にしながら、皆が車から降りていく。

私もお礼くらいは、と思い、振り返って口を開こうとした。


「ありが……」
「明日。電話する」


視線を合わせれば、しっかり私を見ていて。

“電話に出ろよ”

と。


無言の圧力。

私は表情を変えず、首を縦に振ると、「ありがとうございました」と口にして車から降りた。



裸女は、車内でミナと連絡を取ったらしく、慶太郎の家に行くと言い、手を振り別れた。


「マジ汚えから。引くなよ」


笑って話すリカさんに、軽くさゆりさんが肩を叩き、目の前の家の門をくぐる。



電話、って……

さゆりさん達に笑顔を向けながらも、一体響は私に何の話をするつもりだろうか、と。

焦りにも似た胸の高鳴り……


さゆりさんが家の鍵を出して、玄関の扉が開いた時。無意識に握っていた拳には、じんわりと汗をかいていた。
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