俺のSPはくの一女子高校生
和菓子喫茶を出る頃にはすでに空は菫色に染まっていた。西側には微かに燃えるような夕日が見えるが、完全に沈むのは時間の問題だ。
少し急ぎ足で歩いていると、風に乗って誰かが叫ぶ声がした。
楓も聞こえたらしく辺りをキョロキョロと見回している。
「場所はわかるか?」
「大体。こっち」
走り出す楓の後ろをついて行く。
すると、そう遠くない場所で複数人の他校の男子に囲まれる、鶴桜高校の制服を着たひとりの女子がいた。
「おいおい、ナンパか何かしらねえが女ひとりに男が集り過ぎだろうが。なに、そんなにいい女なの?」
「あ゛ぁ?何だおまえ?」
声を掛ければ男たちが威嚇するような顔で俺の方をみる。
同時に男たちに隠れていた女の顔がみえた。
「あらま、びっくり。鬼龍のお姫さまじゃありませんか」
なんと男に絡まれていた女子は皇 優姫だった。