俺のSPはくの一女子高校生

「すっかり暗くなっちゃったな」

「……」


あれから俺の少し前を歩く楓はずっと無言だ。


「楓~」

「……」

「楓さ~ん?」

「……あの人嫌い」

「へ?」


ピタッと足をとめた楓が呟いた。

俺のほうを向いた楓はみるからに不機嫌だ。

楓がいうあの人って、皇のことか?


「でも、デレデレしてた朔はもっと嫌い……」

「あ、あの?楓……さん?」


間違いない、あの人は皇のことだ。

だが、俺は決してデレデレしてない!

俺がデレデレすんのは楓だけだ!


「誤解だって!俺はデレデレなんて……」

「ウソ!帰ったら何も考えられないぐらいビシバシ鍛えてあげるから!覚悟しててよ!」


プイッと顔を逸らし、再び歩き出す楓の背中をみながら俺は呆然としていた。

もしかして、皇と話す俺に嫉妬したのか……?

それはそれで嬉しいが、それよりもビシバシ鍛えるって、帰ったらどんな目にあうんだ!?


「無事、明日を迎えられるかな……」


俺の溜息は夜空に消えていった。
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