俺のSPはくの一女子高校生
*不釣り合い(楓視点)
5人の鬼から逃げ続ける朔は見ててハラハラする。
木の上にずっといれば勝てるのに、どうしてわざわざ下に降りたりするんだろう。
朔の行動が理解できない。
「あっ!」
5人のうちひとりが朔の身体に触りそうになって思わず息を飲んだ。
あまり心配させないで。心臓がもたない。
やっぱり、私も鬼ごっこに参加すればよかったと思っても、もう遅い。それに、朔の言葉に逆らうつもりは毛頭なかった。
それからもしばらく、ハラハラする鬼ごっこを眺めていると「ねぇ」と声をかけられると同時に、花の甘ったるい香水のにおいがした。
声とにおいだけで胸がムカムカ。
目だけを横に向ければ、思った通り遠くにいたはずの皇さんが隣に立っている。