俺のSPはくの一女子高校生

「朔」

「ひっ!はい!」

「教室に帰るよ」


楓は俺の手をガシッと掴み、立ち上がらせると


「皇さん、二度と朔に近づかないで」


そう言って、楓は俺の手を掴んだまま歩き出した。

今、後姿しか見えないけど、楓……怒ってるよな。

そんな楓に話し掛けられなくて、引っ張られながら歩いていると、辿り着いたのは2-Aの教室ではなく空き教室だ。

普段、物置となっているこの場所は、美術部が描いた絵や文化祭で使う道具で溢れかえっていて埃っぽい臭いがする。


「皇さんとキスしたって本当なの?」

「……うん」

「ふ~ん……」


振り返った楓は不機嫌な顔をしている。

そして、何だか俺を疑ってる……?


「楓!勘違いすんなよ!俺からしたわけじゃねえから!あっちが勝手に……」

「わかってる。朔は誰にでもキスするような人じゃない」
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