俺のSPはくの一女子高校生

勢いだけで飛び出した先に見えた光景に思わず固まる。

そこにはやっぱり楓と猿飛がいて、猿飛が楓を壁際まで追い詰めていた。

驚いた顔でこっちを見た楓の目には涙が浮かんでいて、その涙を見た瞬間、身体の内側から沸々と激しい怒りが燃え上がった。


「なに楓を泣かせてんだ!猿飛!」

「朔、ダメ!」


楓の制止する声と共に猿飛の姿が消える。

そして、後ろからゾクッと強い悪寒がした。


「月神家の者ですね。貴方にはここで死んでもらいます」


一瞬で背後から迫っていた猿飛の手には、現代ではまず見ないクナイが握られていた。

鋭く尖った先端が俺に向かって降ろされる。

強く死を感じたとき


「朔!」


と叫ぶ楓の声がして、クナイが握られた猿飛の腕を小さな手が掴んだ。
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