俺のSPはくの一女子高校生
「楓、どうした?」
「え、いや……なんでもない」
「なんでもないようには見えないけど」
「とにかく、何でもないから。あ、先に行ってるね!」
そう言って、楓はまるで逃げるように食堂から出てしまう。
楓の慌てた様子に首を傾げていると、片付け終わった猿飛がクスクスと笑っていた。
「どうやら風魔さん、先ほどの私達の会話を聞いていたようですね」
「へ?」
「知らないんですか?忍びは常人よりも五感に優れているんです。ですから、小声で話していたとはいえ、先ほどの会話は彼女に筒抜けだったということです」
そう言えば楓がそんなこと言ってたな。
……俺、さっきなんて言ってた。
楓は渡さないとか何とかって言ってた気がする……。
「あ゛あ゛あ゛!!」
「ふふふっ。これから本当に楽しくなりそうです」
ガランとした食堂に俺の叫び声と、猿飛の笑い声、そして授業開始のチャイムが響き渡る。
忍びの転校生により、これからの学園生活は覚悟する必要がありそうだ。
【END】