背中合わせの恋


事のきっかけは3月1日

今日から遡って2週間ほど前のことだった



―――――――――――・・・・


『婚約パーティー、ですか?』


だだ広い一室に長広いテーブルに一人分の夕食

こんなの慣れっこだからもう何とも思わないけど、今日は途中で予想外のことが起きた


私には親が決めた婚約者がいる


時代錯誤のように感じてしまうけど、日本有数の財閥である神崎家ならばそれも普通らしい


けど、婚約者とは名ばかりでお互いに恋愛感情どころか友情すらないただの知り合い

というのも相手は同い年で今日卒業した高校の同級生だった結城夏哉


結城家は神崎家と肩を並べるくらいの名家で目立った関わりはなかったが、不景気なこのご時世何が起こるかわからないということで私たちの縁談をダシに提携を結ぶらしい


それを聞かされたのは中学2年生の頃

以降全く音沙汰なしだったのにどうしていきなり婚約パーティー?


『今月17日はお前の誕生日だろう。発表するにはちょうどいい口実だ』


なるほどね・・・

そういう理由だと押し切るならたとえ意地悪な質問が来ても誤魔化しがきく

私は納得しないけど


ていうか娘の誕生日なんて覚えてたのね







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