すでに恋は始まっていた
「日菜は『私がレトワール1位です!』って言わないの?」


小さな声で、にやけながら聞いてきた。


「やだよ〜私平凡に過ごしたいし」


(普通に過ごすのが1番でしょ!)


「いろいろお得になるのにな〜」


《大変なことも増えそうだけど…》


「それを言ったら泉も!『理事長の娘です!』って言っちゃえばいいのに〜」


もちろんそれをしない理由なんてわかってるけど、仕返しとして少し意地悪く言った。


「だって、そのせいでジロジロ見られるとか耐えられないでしょ?」


いかにも嫌そうな顔をしてみせる。


「私と同じじゃん!」

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