すでに恋は始まっていた
「いいじゃん!教えてよ!」


教えるのが前提になって泉が体をのりだす。


別に話したくないわけじゃないからいいけど…というより、私の初恋の話だから好きな話なんだけどね!


「はいはい…私が8歳の時にね、男の人に襲われたんだけど、それを同い年くらいの男の子が助けてくれたの」


何度も話したとはいえ、初恋の話だから私の目が輝いているのが自分でもわかる。


泉は少し考え込むような素振りを見せて、ひらめいた!というように表情を変えた。


「ああ〜。思い出した!それで、この子みたいになろうと思ったんだっけ?」


(なんだ!覚えてるじゃん!)


「そう!それでね!」


「青いカーネーションをくれたんでしょ?」


「…そこは覚えてるんだ」


(言いたかったのに…)

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