すでに恋は始まっていた

「お願いします!」


私の最初の相手は2年生の礼儀正しそうな男子だった。


「こ…こちらこそ…?」


さっそく始まった。


《まずは右パンチ!》


私は右手が顔に触れる前に受け止める。


次々にくる攻撃も全て避け、私も一回だけ蹴りを入れた。


(う〜ん。攻撃には申し分ないけど…受身がとれてないからダメージが大きいことが悪いところかな…)


私がバトルを中断し、アドバイスを伝えるとお礼を言って走っていった。


心を読む限り、次までに上手くなってもう一度挑戦しに来るみたい。


隣を見ると、疾斗もアドバイスを言っているところだった。


「お願いします!」


次の人が私に挨拶をする。


「こちらこそ」


私は目の前の男子に微笑んだ。

< 157 / 363 >

この作品をシェア

pagetop