すでに恋は始まっていた
泉の顔を見ると、横顔でも相当嫌がっているのがわかる。


私達の様子がおかしいのに気がついたのか、入り口付近がザワザワして近くにいた人が戻ってきた。


走って来た男の人は近くまで来たかと思うと、いきなり泉に抱きついた。


「ちょっと、やめてよお父さん」


(………え?)


「お、お父さん⁉︎…ということはこの人が理事長…」


葉月も私も驚きの展開に口が開いたまま閉じない。


私は泉とずっと一緒にいたけど、いつも泉の親に用事があって今まであったことがない。


疾斗に至っては状況が飲み込めないみたいで、あたふたしている。

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