すでに恋は始まっていた
「ちょっと。そこの後ろにいる女子。今なんて言った?」


いきなり泉が低い声を出した。


目がかなり怒っているから相当のことだと思う。


泉に呼ばれた女子は何も言わず、下を向いて黙っている。


「葉月のこと、私達につりあわないって言ったよね?」


葉月の方を見ると、居心地悪そうにしていた。


「………」


キーンコーンカーンコーン


音のない教室にチャイムが鳴り響いた。


(何も言わない…本当なんだ)

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