すでに恋は始まっていた
「確か初恋がその人だって言ってたよね?」


「うん!っていうか、初恋はまだ終わってないけどね!」


少し恥ずかしげに笑った。


そう、私の初恋はまだ終わってない。


だって私にはその人しか好きになれない気がするんだもん!


ガタン!


「は⁉︎ずっと会ってない人を想い続けてるわけ⁉︎」


席に座っていた泉が勢いよく立ち上がった。


「びっくりした〜。そうだけど?」


(ダメなのかな?)


急に大きな声と音がしたからクラスのみんなが注目していた。


それに気づいた泉はしまったという顔をしてゆっくり座り直した。


「ありえない…。いや、別にいいんだけどさ今会っても、どうせ顔わからないでしょ」


それは泉の言う通り。


「顔はわからなくても分かるの!」


「なんで?」


「…雰囲気とか?」


(好きな人なら雰囲気でわかるもん!)


「…呆れる」

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