すでに恋は始まっていた
「あ!そうそう。日菜・疾斗、もしも喧嘩で負けてしまったら…それ、取られちゃうから」


圭介の指した指は私と疾斗の左胸を指している。


「これ?」


自分の左胸を見てみると、そこにはレトワール1位の称号であるバッチ。


「うわ!やっべ。負けねぇようにしないとな」


疾斗は笑い混じりに焦っているけれど、私は…


(ここで負けたらもう目立たなくて済むんじゃ…)


「それは許さない」


「え‼︎」


私の心を読んだかのように凛愛が私を見て言った。


(まさか心が読めるの⁉︎)


だけど昔、お母さんに「心が読める人同士はお互いに心が読めないのよ」と言われたことを思い出した。


(凛愛の心は読めるから…違うのか。単純に頭がいいのか〜。いいなぁ)

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