すでに恋は始まっていた
私がトイレに行こうと席を立った時…。


「待って!そこの女子」


ビクッ


相手の方は見てないから私のことじゃないかもしれないけど…明らかにみんなの視線が私に集まっている気がする。


(私…?まずい…ばれた?)


「ごめんね。この子今からトイレ行くの」


泉が私にフォローを入れながら私の背中を押す。


私も早く逃げたかったから行こうとしたんだけど…。


「ちょっとだ!こっちを振り向くだけでいい」


そこまで言われたら無視して行くわけにもいかない。


しょうがなく私は下を向いたまま振り返る。


コツ…コツ…


誰かの足音が近づいてくる。

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