すでに恋は始まっていた
「惚れた…付き合ってくれ!」


目の前の男子は自信満々の顔で笑いながら告白してきた。


「「…は?」」


私と泉の声が重なった。


(何言ってんのこいつ)


声をあげたのは私達だけじゃない。


周りにいた女子も男子もざわめきだした。


(自信満々だから、オッケーしてくれるとでも思ってるのかな?)


残念だけど私はそんなに軽い女じゃない。


こんな大勢の前で振られるのはかわいそうだけど…仕方ないよね。


「ごめんなさい。私遊びで付き合うようなことはしたくないので」


「いや、本気だ!一目惚れしたんだよ」


頭まで下げて断ったのに意外としつこい。


(いや、一目惚れとかないでしょ。それにこいつ…読めない…なんで?)


「え…でも…」


私が困っているところにドアが開いて先生が入ってきた。


「はーい。席ついて〜」


(ナイス!先生!)


告白してきたやつは少し悔しそう…いや、イラっとしてそうだけど、私にとっては好都合!


「…じゃあ、考えておけ!」


そう言って教室から出て行った。


(なんだったのあいつ)

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