すでに恋は始まっていた
「樹君⁉︎え…閉会式は?」


「とっくに終わっちゃいましたよ?それより日菜華さん、誰かが呼んでるみたいなんですけど…」


そう言ってちらりとグラウンドのある方向を向く。


「え?」


「なんだか、他校の人みたいです。知り合いですか?」


(他校の知り合い…うーん…)


「とりあえず行ってみるね!ありがとう!あ、樹君。後で話したいから残っていてくれない?」


「わかりました!」


私は疾斗の方を振り返る。


するとなぜかムスッとした顔をしていた。


(どうしたんだろう…それより、早く行かなくちゃ!)


「ちょっと行ってくるね!」


私はグラウンドへ駆け出した。

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